キライ、じゃないよ。
kashi.6
◇
狡くない?
そう言った上で、俺の強引な懺悔とも取れる言葉を全て許すと言った護。
護の言う通り、俺は本当に狡いんだろう。
今回まんまと原川と田淵の策略にハマった自分を正当化させ、護にある負い目を利用した。
田淵の事は本当に護が心配する事はない。俺に彼女への気持ちは微塵もないんだから。
だけど、護はどうなんだろう?
田淵にあんな写真を見せられて、それが原川の仕組んだ事だと分かったのは事実だけど、それで全部納得できたわけじゃない。
惚れた女が他の男に抱かれている姿を見て、冷静でいられる男なんているわけない。
況してや相手はあの八田で。
護が揺れたとしても仕方ないと思う。
正々堂々と、護に告白したアイツだからこそ、不安だった。
やっと同じスタートラインに立てたと思ったら、全速力の俺の横をアイツは余裕でその先に行くみたいな。
そんな敗北感を味わっていた。
「か、樫?」
怯える小動物のような目で俺を見上げる護を、どんな風に問い詰めてやろうか?
なんて、自分の迂闊さを置いて責めるのはおかしいと分かっている。
確かめたいのは、ひとつだけ。
「護、正直に答えて。……八田に揺れた?」
「……」
言葉なく、見開かれた目。
そしてゆっくりとその目に怒りと悲しみの色が浮かんでいく。
狡くない?
そう言った上で、俺の強引な懺悔とも取れる言葉を全て許すと言った護。
護の言う通り、俺は本当に狡いんだろう。
今回まんまと原川と田淵の策略にハマった自分を正当化させ、護にある負い目を利用した。
田淵の事は本当に護が心配する事はない。俺に彼女への気持ちは微塵もないんだから。
だけど、護はどうなんだろう?
田淵にあんな写真を見せられて、それが原川の仕組んだ事だと分かったのは事実だけど、それで全部納得できたわけじゃない。
惚れた女が他の男に抱かれている姿を見て、冷静でいられる男なんているわけない。
況してや相手はあの八田で。
護が揺れたとしても仕方ないと思う。
正々堂々と、護に告白したアイツだからこそ、不安だった。
やっと同じスタートラインに立てたと思ったら、全速力の俺の横をアイツは余裕でその先に行くみたいな。
そんな敗北感を味わっていた。
「か、樫?」
怯える小動物のような目で俺を見上げる護を、どんな風に問い詰めてやろうか?
なんて、自分の迂闊さを置いて責めるのはおかしいと分かっている。
確かめたいのは、ひとつだけ。
「護、正直に答えて。……八田に揺れた?」
「……」
言葉なく、見開かれた目。
そしてゆっくりとその目に怒りと悲しみの色が浮かんでいく。