キライ、じゃないよ。
あぁ、そっか。
護は、昔から分かりやすい。
怒りも、悲しみも、喜びも、全部顔に出てたっけ。
ただ、人前で泣くのは下手だったな、と思う。
男は女の涙に弱いってのは、多分昔も今も同じ筈で。
庇護欲を掻き立てられるんだ、男は。
だから、たとえ演技だとしても涙ひとつ見させれば、もっと楽に生きられただろうにと思うのに。
護は、頑固なまでに泣かなかったな。
あの高校の文化祭の時だってそうだ。
涙ひとつ見せずに、頑固なまでに最後まで諦めずに説得していた護。
可愛くない女だなんて陰口を叩かれたって、平気な顔をして一人で黙々と作業をしていた。
誰もいない放課後、看板の修理に励む護の小さな背中が震えているのに気付いたのが、俺だけでよかったと思った。
声をかけたら慌てて涙を拭って、振り返ったその顔は泣いていたのが丸わかりで、それでも必死に笑っていた護。
あの時思ったんだ。
護のことを分かってやれるのは、多分きっと俺だけだって。
と言うか、俺以外知らなくていいと思った。
ガキだった俺に芽生えたくそみたいな独占欲。
ずっと隣にいたいと思ったのに、ガキだった俺は、無神経な言葉で護を傷つけた。
どんな顔をしていいかわからず、謝ることもできずに卒業と同時に離れ離れになって。
もう二度と会えないのかと諦めていた俺に巡ってきたこの機会を、みすみす逃すわけがない。
護は、昔から分かりやすい。
怒りも、悲しみも、喜びも、全部顔に出てたっけ。
ただ、人前で泣くのは下手だったな、と思う。
男は女の涙に弱いってのは、多分昔も今も同じ筈で。
庇護欲を掻き立てられるんだ、男は。
だから、たとえ演技だとしても涙ひとつ見させれば、もっと楽に生きられただろうにと思うのに。
護は、頑固なまでに泣かなかったな。
あの高校の文化祭の時だってそうだ。
涙ひとつ見せずに、頑固なまでに最後まで諦めずに説得していた護。
可愛くない女だなんて陰口を叩かれたって、平気な顔をして一人で黙々と作業をしていた。
誰もいない放課後、看板の修理に励む護の小さな背中が震えているのに気付いたのが、俺だけでよかったと思った。
声をかけたら慌てて涙を拭って、振り返ったその顔は泣いていたのが丸わかりで、それでも必死に笑っていた護。
あの時思ったんだ。
護のことを分かってやれるのは、多分きっと俺だけだって。
と言うか、俺以外知らなくていいと思った。
ガキだった俺に芽生えたくそみたいな独占欲。
ずっと隣にいたいと思ったのに、ガキだった俺は、無神経な言葉で護を傷つけた。
どんな顔をしていいかわからず、謝ることもできずに卒業と同時に離れ離れになって。
もう二度と会えないのかと諦めていた俺に巡ってきたこの機会を、みすみす逃すわけがない。