キライ、じゃないよ。
「……普通なんて知らないよ！大体、私まだ樫にちゃんと告白だってしてないし、ハッキリ付き合おうって言われたわけじゃないし、OKだってしてないから。樫のいう普通を私に無理矢理当てはめるのはやめてよ」

「な……」


流石にカチンときた。

確かに俺の普通を当てはめるのはおかしいかもしれない。

だけどそんな言い方はないだろ。

護って意外と……、


「面倒くさい……あ！」

「……面倒くさい女でごめんねっ、私帰る」


本気で怒らせたし、俺もムカついて今度は車の扉を開けて降りていく護を引き止めることは出来なかった。

かといって、夜遅くに一人で帰らせるのも心配で、仕方なくタクシーを呼んで、嫌がる護を無理矢理タクシーに乗せて帰らせた。

何やってんだもう……。

せっかく長い間の片想いにケリをつけて、これから護と幸せな未来を歩むはずだったのに……。

帰した後で後悔するくらいなら、護が納得するまで説明してやればよかったのに。

俺ってやつは……。

でも、護だって可愛くない。

好きだと言った。確かに護の告白を邪魔したのは俺だけど、キス……嫌がらなかったじゃないか。

触れればそれに応えるくせに。

そんなの自惚れるだろ、普通。

あ、また普通って……。

全く俺は何やってるんだ。



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