キライ、じゃないよ。
友人の浮気騒動

mamori.7





『……アホらしい』


仕事の昼休み、昼食を摂るのもそこそこに、温かい病棟内から冷気が肌を刺す駐車場の隅まで移動した私は、唯一事情を知る香に電話をしたのだが……。


「アホ……って。香、人が真剣に話してるのにひどくない?」

『ひどくない。てか、なに?惚気話をわざわざ聞かせに電話してきたわけ?』

「香……?」


普段から物をハッキリ言う彼女だが、どうしたんだろう?今日はやけに突っかかってくる。

これって、もしかして……。


「香、もしかして山近くんと喧嘩でもした?」

『はぁ?なに?誰だって?あー、あの下半身のゆっるーいチャラ男のこと?』


うわぁ、棘どころじゃないよ。刃物並みの殺傷力がある言葉出たー。

山近くん一体なにしでかしたんだろう?


「今日、私日勤だからさ。飲みに行こうか?」


ここまで荒んだ香を放っておくことはできないや。

案の定、香は二つ返事でOKしてきた。

山近くんと揉めたなら、人の恋愛話とかそれ系の話冷静に聞けないわ。


『じゃあ、19時にこの前の店で待ってるね』


いつもならウキウキした様子で飲みの約束をするのに、今日の香は終始不機嫌で電話もあっさり切られてしまった。

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