キライ、じゃないよ。
kashi.1
◇
「え、なんだって?」
仕事中にかかってきた電話の相手は、高校時代からの友人、山近 宏也だった。
営業先から帰る途中、街中の騒音で相手の声が途切れ途切れで聞き取りにくい。
相手が山近だと分かったのは、携帯の液晶画面に出た名前を見たからだ。
しかし、よりによって仕事の携帯にかけてくるかね。
「俺、今仕事中だから後から掛け直すってか、プライベートの携帯にかけてこいよ」
『あほぅ!お前の携帯1週間前から留守電しか相手してくれてねぇわ!俺だって常識弁えてこの1週間毎日向こうの携帯にかけてたわ!』
山近の怒声に、しまったと思う。最近営業周りが忙しくてプライベートの携帯家に置きっぱなしにしていたのを忘れていた。
「あー、悪い。今忙しくてさ」
『そうなんだろうよ。春から係長だっけか?お忙しい樫くんに、なかなか連絡がつかないって暇な俺が伝書鳩扱い食らったけどな』
「あ?」
『高校の同窓会!出欠締め切り明日までな!』
山近の方にもこちらの騒音が聞こえているのだろうか、大きな声が携帯から飛び出てくる。
けれどその問いかけに俺はすぐには答えられなかった。
聞こえていた。十分な程。
だけど……。
「え、なんだって?」
仕事中にかかってきた電話の相手は、高校時代からの友人、山近 宏也だった。
営業先から帰る途中、街中の騒音で相手の声が途切れ途切れで聞き取りにくい。
相手が山近だと分かったのは、携帯の液晶画面に出た名前を見たからだ。
しかし、よりによって仕事の携帯にかけてくるかね。
「俺、今仕事中だから後から掛け直すってか、プライベートの携帯にかけてこいよ」
『あほぅ!お前の携帯1週間前から留守電しか相手してくれてねぇわ!俺だって常識弁えてこの1週間毎日向こうの携帯にかけてたわ!』
山近の怒声に、しまったと思う。最近営業周りが忙しくてプライベートの携帯家に置きっぱなしにしていたのを忘れていた。
「あー、悪い。今忙しくてさ」
『そうなんだろうよ。春から係長だっけか?お忙しい樫くんに、なかなか連絡がつかないって暇な俺が伝書鳩扱い食らったけどな』
「あ?」
『高校の同窓会!出欠締め切り明日までな!』
山近の方にもこちらの騒音が聞こえているのだろうか、大きな声が携帯から飛び出てくる。
けれどその問いかけに俺はすぐには答えられなかった。
聞こえていた。十分な程。
だけど……。