キライ、じゃないよ。
「手作りの婚約指輪?」
結局護に喋ってしまった。でも仕方ない。浮気を誤解されるより、真実を話した方が山近にとっても幸島にとっても絶対いいと思ったから。
「昨日、出来上がった指輪を勝間の家に受け取りに行って、浮かれて階段から落ちたってのは知ってるんだろ?」
「なんだ……それで友奈と。じゃあ、遅く帰ってきたり、こそこそ電話で話してたっていうのは……」
「相手は勝間だろ。工房との仲介をしていたのは勝間らしいから」
なんだ!と声を上げて大きな息をついた護を見ながら俺も正直ホッとした。
なんだかよく分からないけど、誤解が解けたならよかった。
「あ!じゃあ、香にも教えて上げないと」
「だめだろ、それは。てか、山近がちゃんと話すだろ。子供ができたなら、それこそすぐにでも指輪渡して、結婚の準備を進めていくに違いないよ」
「そ、か。そうだよね」
「俺らは静かに見守ってようぜ」
「そうだね、そっか、指輪かぁ……。山近くんカッコいいね」
素直な気持ちだったんだろう、護の山近を褒める言葉に「ん?」と小さく引っかかった。
女って、やっぱりそういうのに憧れたりするのかよ。
なんだか面白くない。
「……樫?どうしたの?急に黙りこくって」
俺だって、護とのことを真剣に考えてるし、前に進みたいと思ってる。
護はどう思っているんだろう?