キライ、じゃないよ。
「中、入ろうか」
肩を抱かれて、樫に促されるまま扉の鍵を開けて中に入った。
家の電気をつけて、靴を脱いで上がる。
部屋のエアコンをつけた後、樫を部屋に通してソファを勧めた。
コートを脱いだ樫がソファに腰掛けたのを横目で見ながら、自分はキッチンでお湯を沸かし始める。
「あ、あんまり見ないで。恥ずかしい」
「あ、ごめん。なんかさ、シンプルで余分な物がなくて、護らしい部屋だなって思った」
「殺風景でしょ。物が増えるの嫌いなんだ。」
「そうなんだ。俺の部屋はなんか雑然としてるかも」
「そうなの?はい、コーヒーでよかった?」
目の前にコーヒーの入ったマグカップとスティックシュガーとミルクのポーションを置いた。
「サンキュ、ミルクだけもらうな」
ポーションのミルクを1つカップに入れて混ぜる樫と向かい合う形で私も座った。
コーヒーを飲んでいるせいか2人とも黙ったままだ。
樫は余裕があるみたいだけど、私はさっきから心臓ばくばくしてて、なにを喋ったらいいのか、この後どうすればいいのか分からない。
まだ、勢いに流されて的なものなら、なにも考えずに済んだのかもしれないけど。
こんな、まったりとお茶を飲む的な雰囲気からどうやったら、そういう流れになるのか想像すらできない。
なんせ経験がないもので!