キライ、じゃないよ。
kashi.2
◇
「本当に連絡つかないのね」
「原川?」
営業周りから営業所に戻ってくると、受付から面会人がいると聞かされて、ロビーにあるカフェコーナーに向かった俺は、開口一番にその相手から責められた。
待っていたのは同窓会の時に再会したクラスメートの原川だった。
そういえば会社の名刺を渡したんだった。
革張りのソファーに座りなおした彼女は、カフェで頼んだのだろうコーヒーに口をつけた。
今日も相変わらずの濃いメイクに、花柄のワンピースを着ている原川。
こんな平日の昼間に人の会社までやってくるなんて、暇なんだろうか?
「待たせて悪い……てか、今日は仕事休みなのか?」
「うち、変則勤務だから。今日はお休みなの。忙しいところにごめんなさいね。樫くん、連絡全然取れないから押しかけちゃったよ」
わざわざ押しかけてくるような用件があるのかと、彼女の目の前に座り姿勢を正した。
「忘れたの?忙しい樫くんに代わって、彼女の情報仕入れてあげてきたのに」
「彼女?」
原川の言葉の意味が分からない。
戸惑う俺に呆れた様子で原川は溜息をついた。
「忘れてるのね、あの日の帰りに話したこと」
「あの……日?」
「……呆れた。本当に忘れてるんだ。と言うか、私のこと信用してなかったわね。失礼だなぁ……」
本気で怒り出した原川の様子に、必死に思い出そうと記憶を引き出していく。
「本当に連絡つかないのね」
「原川?」
営業周りから営業所に戻ってくると、受付から面会人がいると聞かされて、ロビーにあるカフェコーナーに向かった俺は、開口一番にその相手から責められた。
待っていたのは同窓会の時に再会したクラスメートの原川だった。
そういえば会社の名刺を渡したんだった。
革張りのソファーに座りなおした彼女は、カフェで頼んだのだろうコーヒーに口をつけた。
今日も相変わらずの濃いメイクに、花柄のワンピースを着ている原川。
こんな平日の昼間に人の会社までやってくるなんて、暇なんだろうか?
「待たせて悪い……てか、今日は仕事休みなのか?」
「うち、変則勤務だから。今日はお休みなの。忙しいところにごめんなさいね。樫くん、連絡全然取れないから押しかけちゃったよ」
わざわざ押しかけてくるような用件があるのかと、彼女の目の前に座り姿勢を正した。
「忘れたの?忙しい樫くんに代わって、彼女の情報仕入れてあげてきたのに」
「彼女?」
原川の言葉の意味が分からない。
戸惑う俺に呆れた様子で原川は溜息をついた。
「忘れてるのね、あの日の帰りに話したこと」
「あの……日?」
「……呆れた。本当に忘れてるんだ。と言うか、私のこと信用してなかったわね。失礼だなぁ……」
本気で怒り出した原川の様子に、必死に思い出そうと記憶を引き出していく。