キライ、じゃないよ。
kashi.4
◇
煙と油の匂いが充満する店内から、護を連れ出した。
外に出た途端隣で派手にくしゃみをした護を見て、彼女がコートを着ていなかったことに気づく。
自分の左手に持ったままだった。
「護、ごめん。ほら、コート着て」
「ん」
コートに袖を通し前をぐっと寄せて、それでも寒そうに体を震わせている護を自分の車へと乗せた。
エンジンをかけてエアコンを付けたが、すぐには温まりそうもない。
「樫も、コート着なくていいの?車温まるまで着てたら?」
「いや、いい。それよりこれもかけてろ。ダウンだから少しはあったかい筈だし」
でも、と躊躇する護に強引にコートを押し付けた。
「ありがと」
「いや、俺が悪かったから……」
「別に樫は悪くないよ。それより話があるんじゃないの?」
いきなり本題に入らされるとは思わなかった。
そんなに俺と2人きりが嫌なんだろうか?
早く話を済ませて帰りたいんだろうか。
「なにか温かい飲み物買ってくる」
「私はいいよ。お肉食べ過ぎてお腹いっぱいだから」
「……そう。てか、肉そんなに食ったのかよ。俺まだ食い足りねーわ」
「……じゃあ、食べてくればよかったじゃない。可愛い女の子2人引き連れて、両手に花で食べに来たんでしょう」
なんだか意地の悪い言葉にカチンときた。
煙と油の匂いが充満する店内から、護を連れ出した。
外に出た途端隣で派手にくしゃみをした護を見て、彼女がコートを着ていなかったことに気づく。
自分の左手に持ったままだった。
「護、ごめん。ほら、コート着て」
「ん」
コートに袖を通し前をぐっと寄せて、それでも寒そうに体を震わせている護を自分の車へと乗せた。
エンジンをかけてエアコンを付けたが、すぐには温まりそうもない。
「樫も、コート着なくていいの?車温まるまで着てたら?」
「いや、いい。それよりこれもかけてろ。ダウンだから少しはあったかい筈だし」
でも、と躊躇する護に強引にコートを押し付けた。
「ありがと」
「いや、俺が悪かったから……」
「別に樫は悪くないよ。それより話があるんじゃないの?」
いきなり本題に入らされるとは思わなかった。
そんなに俺と2人きりが嫌なんだろうか?
早く話を済ませて帰りたいんだろうか。
「なにか温かい飲み物買ってくる」
「私はいいよ。お肉食べ過ぎてお腹いっぱいだから」
「……そう。てか、肉そんなに食ったのかよ。俺まだ食い足りねーわ」
「……じゃあ、食べてくればよかったじゃない。可愛い女の子2人引き連れて、両手に花で食べに来たんでしょう」
なんだか意地の悪い言葉にカチンときた。