幼馴染からカレカノに変わるまでの5日間




それは

新入生が新しい制服に身を包み緊張した顔で、でもこれからの高校生活に期待しているかのような顔つきで登校してくる

あぁ…

私にもそんな時代があったなぁなんておばさん臭いことを考える


「花恋ー!」


遠くの方からドドドドッという効果音がつきそうなくらいすごい速さで私の方に走ってくる華


「もーなに??笑笑」

「ねぇ、聞いた??
健人くんってばもう新入生に告白されたんだって!」


何を喋るのかと思ったら健ちゃんのこと。
華は私がずっと健ちゃんに片思いしてることを知ってるからちょくちょく私に健ちゃんの情報をくれる。


「もう?はやくない??」

「中学校が同じで前から好きだったらしいよー
この高校に来たのだって健人くんを追いかけるためだってさ。
…花恋いいの?」

「いいもなにも私は健ちゃんのただの幼馴染だよ?笑」


そう…
私たちはただの幼馴染。
私がいくら片思いしていたとしても健ちゃんからしたら私はただの幼馴染

そんなことはとっくの前からわかってる。

だからこそ、告白する勇気が出ないんだ。

この関係が壊れたら…

そればっかりが私の頭を占領して…

何回幼馴染じゃなかったらって思ったか。

でも幼馴染じゃなかったら健ちゃんのいい所とか悪いところをこんなに知ることもなかっただろうし、こんなに好きになることもなかった。


「でも…」

「でもじゃないのー笑
ってかそろそろ並ばないと。
入学式始まるよー笑」


華は優しすぎる。
何年も一緒にいるからわかるんだよ??
…華が健ちゃんを好きだったってこと。
華は私が健ちゃんを好きって知って健ちゃんのことを諦めようとしている。
そんなこと、しなくていいのに…
私は絶対に叶わない恋
華は努力すれば叶う恋
スタート地点が違うんだよ…
幼馴染の私が健ちゃんと恋人になれるなんてことはない
親友の華と幼馴染の健ちゃんが付き合うってなっても私は喜んであげないといけない立場にいるんだ。
…華も健ちゃんと同じくらい好きだから。
だから私は健ちゃんのことを諦められるように努力している。


「花恋…
…そうだね!並ぼっか!」


でも、ごめんね…華

健ちゃんのこと諦めるまでにはまだ時間がかかりそう…


告白してバッサリ振られて健ちゃんとの縁を切ったらすぐに諦めれるかもしれないのに…


神様…

そんなことが分かってるのに告白しない私って欲張りですか?

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