好きって言ってもいいですか?
水族館に着くと、人でいっぱいだった。
土曜日だからなのか家族連れが多い。
…あと、カップルも。
「ちょっと待っててね」
そう言って人混みの中に入っていった夏目さん。
チケット、買いに行かないのかな。トイレかな?
そんなことを考えていると、2枚紙を持った夏目さんが帰ってきた。
「チケット買ってきた。よし、入ろ」
また何事もなかったかのように手を繋ぐ夏目さん。
「ちょっと待ってください、チケットの代金、お支払いします!」
ピロン
財布を出そうとした時にメッセージがきた。
携帯を見ると、麗奈からで
『なにか買ってくれたりとか奢ってくれたらそのまま、ありがと、って可愛く言えばOK』
麗奈、どっかで見てるの?
きょろきょろと辺りを見回すが、麗奈らしき人はいない。
麗奈までもがエスパーだと言うのか。
財布を出して夏目さんをちらりと見る。
「お金はいらない。お詫びとして一緒にいてくれればそれでいいの。でも俺から誘ってるから、払わせて」
こ、ここで、可愛くありがとう、って言えばいいのか。
…恥ずかしくなってきた。
「あ、…ありがとう、ございます…」
顔赤くなってそう。
だめだ、この人といると体温上がる。
暑い。