好きって言ってもいいですか?

「お前がモノ渡すってことは、相当惚れてんな」

ニヤニヤしながら夏目さんと私を見る男の店員さん。

「東条、うるさいぞ」

東条さんっていうのか。
よく見ると、胸元の名札にちゃんと書いてあった。


「つーか、サイズ分かってんの?手かして」

東条さんに左手を握られる。

その手を夏目さんがすぐにパシッと握った。

「東条、気安く触んな。あと、右手な」

クスクスと笑う東条さん。
夏目さんはというと、…少し顔が赤い気がする。

指のサイズを測ると、右手の薬指は7号だった。

「ふ、ふとい…。泣けてくる…」

「や、普通だと思うけどな」

東条さんは、ふっと笑って私を見る。
そんな中、夏目さんはずっと店内をウロウロしていたが、こっちに戻ってきた。

「東条、あれ、あそこにあるのちょっと出して」

はいはい、と言って東条さんは夏目さんの言った場所へ。

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