好きって言ってもいいですか?

わぁー、と私がずっとメニューを見ていたら、分かりやすかったのか夏目さんはクスッと笑い、
「本日のランチ寿司1つと、おまかせ1つ」
と注文していた。

「あ、ごめん頼んじゃったけど、これで良かった?」

「は、はい…よく分かりましたね」

「亜子はわかりやすいからね」

そう言って、私に微笑む。
その笑顔が優しくて。
ドキドキが止まらない。
隣だから、聞こえちゃいそう…。
おさまれ、胸のドキドキ!!

落ち着かせるためにお茶をひとくち。
でも熱すぎて舌を火傷してしまった。

「あつっ…」

「大丈夫?見せてごらん?」

そう言って、私の顔を夏目さんのほうに向かせたが、恥ずかしすぎて私はぷいっと反対方向を向いた。

「だだだだだだ大丈夫です!」

クスクスと笑う夏目さん。
絶対おもしろがってるでしょ!

ちくしょー、と思っているとお寿司がきた。
まんまるくて可愛いお寿司。

「かわいいぃ…!食べるのもったいない!」

「…お、お嬢さん、嬉しいけど、食べてくださいね」

板前さんに言われてしまった。

「す、すみません、すごく可愛くて。でも、頂いちゃいます」

いい感じの優しい板前さんだった。

それからはゆっくりと一つ一つ味わってお寿司を食べた。




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