優しいあなたの嘘の法則
「…実希さ、最近想くんの話ばっかりだよね。一之瀬さんは?」
「うん…最近、想くんばっかり気になって」
「一之瀬さんが好きなんでしょ?」
「うーん…一之瀬さんは憧れみたいな存在だよ。想くんに対して抱く気持ちとは、全然違う」
「…どう違うの?」
「想くんと仲直りしたい、嫌われたくない…もっと一緒にいたい」
「ねえ、そういうのが〝好き〟って言うんじゃないの?…って少女漫画のキャラが言ってた」
「…やっぱり経験談じゃないんかい」
私のツッコミにナオちゃんは柔らかく笑った。
「あのさ。想くんのこと考えてる実希、すごい可愛い顔してる」
「頭の中、悩みすぎて爆発しそうなんですけどね」
「眉間にシワ寄ってるけどね」
「…ほんとに可愛いと思ってんの?」
「ふふ、もう答えは出かけてるよ、自分でも分かってるでしょ?」
「楽しそうですね、そんなナオちゃんも可愛いよむかつくけど」
「がんばれ、実希」
ナオちゃんが笑って私の肩を叩いたとき、4限の授業が終わることを知らせるチャイムが鳴った。