優しいあなたの嘘の法則
あっという間に時は過ぎ、次の週の金曜日になった。合コンの日だ。
「ナオです。左端から実希、…」
開始五分で、しっかり者のナオちゃんが一通り自己紹介をして挨拶は終わり。あとは全てフリータイムだ。ナオちゃんは向かいに座る男の子と談笑していて、真ん中らへんに座った人たちは何人かで盛り上がっていた。
メンバーが皆同じ大学ということもあり、雰囲気は合コンというより飲み会に近い感じだ。話をつまみにそれぞれお酒を呑んでいる。
左端という目立たない席に座ってしまったからだろうか、気づいた時には話の輪に入るタイミングを逃してしまっていた。
「実希ちゃんって呼んでいい?」
「え、あ、はい」
やらかしたなあ。せっかくナオちゃんがセッティングしてくれたというのに。せめてたくさん食べて美味しいものを胃に収めよう、なんて考えていると、突然向かいに座る人に話しかけられた。
えっと、名前なんだっけ、と考えていると、そんな私を察したのか「想(ソウ)です」と名乗ってくれた。「よろしくお願いします」というと、想くんは「同じ二回生なんだからため口で話そうよ」と付け足すように言った。