からふる。~第1話~
翌日。


無性にフレンチトーストが食べたくなり、残金を確認してから出発した。


電車賃がもったいないので歩いて二駅先のカフェに向かう。


すれ違う制服姿の男女が眩しい。


私が泣く泣く売りに出した制服を思い出す。


最近リニューアルされたばかりで深緑色を基調としたシンプルなデザインがお気に入りだった。


その制服を着ている間だけは魔法がかかって頭が良くなったように感じていた。


そんなのは錯覚に過ぎなかったのだけれど。



「ふぁ~」



ネカフェではよく眠れてないからあくびが絶えない。


こんな生活はもう勘弁してほしい。


早く仕事を探さねば...。


と思った、その時だった。


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