からふる。~第1話~
私は幼い頃からなに不自由なく暮らしてきた。


朝起きたら大理石に囲まれた洗面所で顔を洗い、家政婦の三上さんの手作りの朝食を食べ、食後のコーヒーを飲む。


登校時間になったら父の秘書の松田さんに学校まで送ってもらう。


学校は有名私大の付属高校で、私は医学部を目指すコースにいた。


とは言ってもコネで入学したから、私の成績は最悪だった。


最初で最後の期末テストは学年ビリ。


校内ではコネ入学の女として有名だった。


だから友達はいなかったし、逆に辞められて良かったなんて思ってしまう。


だけど母はそれもショックだったみたいで、私の顔を見るや「あぁ、私の夢が終わった...」などと私に嘆いてきた。


母は農家育ちだというに根性もなければ料理も出来ないし、私よりもお嬢様感は強い。


母に嘆かれてもどうすることも出来ないので、そのまま北海道に強制送還というわけ。


父は私を嫌っていて「男だったらな」と朝のおはよう代わりに言っていた。


でもメンツを保ち、プライドを傷つけないために父は私を無理やり私大の附属中学に入れ、エスカレーターで大学まで行けるようにしたのだ。


出来が悪いとねちねちと言ってくるし、ビリになったその日は遂にぶたれた。


もう顔も見たくないとまで言われた。


そんな父だからこれは良い機会だと思って私を置いて行ってしまったのだろう。


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