あんずジャム
お互いに黙りこんでしまい、沈黙が続く。
優羽は話す内容を一生懸命に考えていた。
(まずは昨日のお礼を…あ、クッキーはどのタイミングで渡せば…やっぱり手作りはまずかったかな…)
「えっと…優羽ちゃん?」
考えだしてしまった優羽は、玲也が沈黙を破り話しかけてくれたことに気がつかない。
(でも、ゆきねさんは喜んでくれたし…あ、でも普通男の人って手作りもらったら困るかな…)
「優羽ちゃん!」
玲也はポンと優羽の肩をたたいた。
意識を現実に戻された優羽はハッとして横を見る。
(ち、近いっ…!)
玲也はのぞきこむような形で優羽の方を見ていた。
思ったより近くに玲也の顔があり、みるみる体温が上がっていく。
玲也もやっと近すぎる距離に気づき、慌てて前を向いた。
「ごめん…」
「あ、いや…大丈夫、です」