あんずジャム


ヘヘ、と笑って、アップルミルクティーラテを一口飲んだ。

優しい甘さとリンゴの風味が口いっぱいに広がる。

冷えきっていた体に染み渡っていくようだった。



「美味しい…」


「本当?それ、昨日発売したばっかで、実は俺も飲んだことないんだよね」


「あ、じゃあ一口飲みます?」



優羽は家でよく美羽とやるような感覚で差し出す。

そして気づいた。



(て、これじゃ間接キスじゃん…!)



しかし、気づいた時には、玲也が何ごともないように口を付けていた。



「うん、確かに美味しい。甘すぎないのも良いね…って、優羽ちゃん顔赤いけど大丈夫?」


「あ、はひっ!?だ、大丈夫です」



不思議そうに言う玲也を見て、優羽はすごく恥ずかしくなる。



(意識してるの私だけじゃん…)



しかし、チラリと横を見て気づく。

少しうつむく玲也の耳のあたりが少し赤かった。

寒さのせいかとも思ったが、優羽の視線に気づいて玲也は言った。

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