あんずジャム
二度目の… 玲也side2
休日の午後は結構人が多く、忙しいが、今日は比較的少ない方だ。
少し気を抜いていた玲也は、店のドアが開く音にハッとなる。
「いらっしゃいませ」
入ってきた客の姿に、心臓が飛び出さんばかりに大きく鳴った。
(あの子だ…)
なんとか興奮を抑え、自然な笑顔をつくる。
当たり前かもしれないが、今日の彼女は私服で、この前と雰囲気が違う。
彼女は緊張の面持ちでゆっくり口を開いた。
「びゃっ…あの」
実際かなり緊張していたらしく、彼女は舌を噛んだのか、妙な声を出し顔を赤くする。
(可愛い…)
玲也は笑ってしまいそうになるのを我慢して、気がつかないふりをする。
やはりと言うべきか、彼女はあんずジャムを注文した。