あんずジャム
彼女の戸惑いに気がつかないふりをして、微笑む。
「この前は売り切れていたケーキやブルーベリーマフィンなんかも美味しいので、今度は是非、店内でもゆっくりしていってくださいね」
これくらいなら怖がられないだろうか?
恐る恐る彼女の様子をうかがう。
と──
彼女は、目を輝かせていた。
「ま、また来ます!スイーツいろいろ食べてみたいので…」
突然の変わりように、玲也は少し驚いたが、すぐに安心と喜びでいっぱいになる。
「はい。お待ちしてます」
「あ、じゃあ」
「ありがとうございました」
彼女は少し照れたように笑って店を出た。