あんずジャム


彼女が出ていったのを確認すると、玲也は耐えきれずカウンターの裏側に座り込んだ。



(あー…ヤバい)




心臓がドクドクと激しく鳴り続ける。



「玲也、お疲れー。レジ交代…っておい、どうした!?」



バイト仲間の近藤篤(こんどうあつし)が座り込んでいる玲也を見て、ギョッとして声を上げた。



「篤…どうしよ、俺…」


「お前、顔、真っ赤だぞ?」


「…うるさい」


「はあ?」



篤はしばらく怪訝な表情を浮かべていたが、ため息をつくと「休憩してろ」とだけ言って玲也の肩をポンと叩いた。


< 20 / 116 >

この作品をシェア

pagetop