あんずジャム
「でもほら、美羽ちゃんだし?」
「ん、確かに」
美羽は何でもできる天才で、その上美人。
だが、同時にかなりの変人で、妹の優羽からしても何を考えているのか分からないことが多い。
「…にしてもさ、あたしもそのカフェ気になるな。せっかくだし、一緒に行かない?」
「え?今日?」
「うん!テストも近いことだし、勉強しがてら」
奈々に言われて、そういえば再来週はテストだったと思い出す。
「分かった。じゃあ今日の放課後ね」
「やった!最近イケメンに飢えてるし、目の保養~」
「目的それじゃん」
優羽は笑いながら改めて考える。
(恋か…)
もしも、このよく分からない感情がそれだったとして…
そんな気持ち持たれても、玲也からしたら迷惑だろう。
そう思うと、何だかひどく悲しかった。