あんずジャム
「奈々ちゃん!」
「ああ、やります!ちゃんとしますから」
奈々は参考書を開いて勉強を始めた、が…
30分ほどで…
「ああ!もうやってらんない!優羽、あたしちょっとトイレ行ってくる!」
「ああ、はい。いってらっしゃい」
奈々を見送り、優羽もとりあえず一息つくことにして、紅茶を飲む。
その時──
「こちらのお皿、お下げしてもよろしいですか?」
そう言って席にきたのはまたしても玲也だった。
「!はい、お願いします」
玲也の顔を見た瞬間、頭の中で「恋」という文字がちらついて、まともに顔が見られない。
勉強に集中しているふりをして玲也が立ち去るのを待つ。
「ごゆっくりどうぞ」
そして立ち去った後、視界の端に何かが映った。
(紙?)
四つ折りにした白い紙だ。
広げると……
『テスト勉強ですか?頑張ってくださいね。 神田』