あんずジャム
(えっ…!?)
予想していなかった玲也からのメッセージに、優羽はしばし固まった。
「ふー…あれ?優羽どうしたの」
奈々が戻ってきて、慌てて紙をしまう。
「な、何でもない」
「そう?」
奈々は不思議そうにしながらも、イスに座って、また参考書を開いた。
そして結局、心臓がものすごくドキドキした、優羽はその後勉強に手がつかなかった。
「優羽、そろそろ帰ろう」
「そうだね」
閉店直前にようやく教材を片付ける。
そして、レジの方を見ると、今は玲也がいる。
「奈々ちゃん、私お会計してくる」
「あ、じゃあお願い。お金は後で渡すね」
優羽は奈々の返事を聞きながら素早くメモ帳にメッセージを書く。
『ありがとうございます。スコーンとジャム、すごく美味しかったです。テストも頑張ります』
その紙を四つ折りにして、お金と一緒に置いた。
お釣りを受け取った優羽は、頬の熱を感じながら、そそくさと店を出た。