あんずジャム


他の写真は複数で写っているのに、これだけは一人で写っている。


剣斗は優羽の疑問を代弁するように呟く。



「俺、この写真だけはいつ撮ったのかとか、何で俺しか写ってないのか思い出せないんだよな…」



心底不思議そうだが、美羽はあっさりと言った。



「私は覚えてるぞ」


「え、まじ?」


「ああ。これは私が雑誌か何かの懸賞でデジカメを当てて、せっかくだから使ってみようと思って学校の帰りに剣斗で試したんだ」


「全っ然記憶にねぇ…」



記憶を探るように腕を組んで考え込む剣斗に、美羽はさらに付け加える。



「で、確かそのすぐ後だったな」


「…何が?」


「剣斗が突然私に好きだって告…」


「うわあーーーーー!」



剣斗は慌てて、言いかけた美羽の言葉を遮るように叫ぶ。

見ると、顔が耳のあたりまで真っ赤である。


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