あんずジャム
…たりはしなかった。
「フフっ…ははは…」
それどころか声をあげて笑いだした。
優羽はそんな姉の様子に呆然とする。
「フフ…『片想い歴、なめんな』か。
素面でその台詞言ってくれたのは初めてだな」
「は…?素面で…ってことは、まさか…!」
楽しそうな美羽と対照的に、剣斗の顔がこわばる。
「その話、酔ってる時は何回もしてくれるよ」
「はあああ!?」
剣斗は、嘘だろ…と頭を抱えている。
美羽は、酒強くないくせに記憶が無くなるまで飲むなと笑った。
因みに美羽はザルだ。
(はは…剣斗さんちょっと可哀想)
やはりと言うべきか、美羽にロマンチックな雰囲気は縁が無いのだろうなと感じた。