あんずジャム


でも…と遠慮する優羽に重ねて言う。



「他の人には内緒でお願いします」


「い、良いんですか?」


「はい」



ありがとうございます、と言って照れたように笑う優羽を見て、玲也はあんずジャムを選んで良かったと思った。



「ごゆっくりどうぞ」


「あの!」



引き留められ、優羽を見ると、彼女は鞄かは何かを取りだした。

手渡されて見ると、それは文化祭のパンフレットだった。



「来週末が一般公開です。もしお時間があれば、来てください…」


「行きます!」



だんだんと小さくなる優羽の声に、玲也は思わず被せるように答えた。

言ってからハッとして言い直す。



「あ、えっと、日曜は暇なので…行かせてもらいます」



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