あんずジャム
「その二人を見かけた公園、どこですかっ?」
「え…」
戸惑う彼女に玲也は嘆願する。
「その女の子、たぶん俺の…その、知り合いなんです!」
「そ、そうなんですか…!?えっと、隣の駅の裏口近くにある、『椿公園』っていう公園だったと思います」
女子生徒は玲也の必死な様子に、若干気圧され気味に答える。
「ありがとうございます!」
「お、おい、玲也!?」
玲也はお礼の言葉もそこそこに、店を飛び出した。
後ろで篤の驚いた声が聞こえたが、今は気にしていられない。
カフェの制服のままであるため、走りずらいが、それでも必死に走った。
隣の駅までは、全力で走り続ければ、5、6分で着く。
慣れ親しんだ道ではあるが、『椿公園』という公園は行ったことのない場所だった。