あんずジャム
茶髪の男子生徒は、玲也の声でこちらに気づき、一瞬驚きの色を浮かべるが、すぐに不機嫌そうに舌打ちをした。
「誰だ?邪魔すんなよ」
その手が、優羽の頬を撫でる。
「触るな!」
「あ?」
玲也はズカズカと歩みより、優羽からその手を振り払う。
やはり、彼女は目に涙を浮かべていて、玲也の顔を見ると口をパクパクと動かした。
(くそっ)
…怒りで思考がどうにかなっていたのだろう。
そうでなければ、玲也がこんなことを言うはずがなかった。
「俺の彼女に触んなって言ってるんだ!」