あんずジャム
店長が運転する車は五分ほどで公園の前に到着した。
車種には詳しくないが、外車っぽい格好いい車だと優羽は思った。
「あら…乗って」
「すみません…わざわざ」
「気にしないで。玲也が私に電話してくるなんて、よっぽどのことなんだろうと思ったけど…なるほどね。
あ、私は【Cafe:snowdrop 】の店長で、雫井ゆきねって言います」
自己紹介をした彼女は、納得したようにうなずき、口角をキュっと上げた。
車内には、聞いたことのない洋楽が、控えめな音量で流れていた。
「優羽ちゃんの家まで送ればいいの?」
聞かれて、あれ?と思う。
「私の名前、知ってるんですか?」
「ああ。誰かさんがあまりにあなたの話をするから…」
「店長!余計な事言うのはやめましょ!」