あんずジャム
何か言いかけたようだが、玲也が慌てたように制したので、何を言ったのかよく分からなかった。
「はいはい。あ、優羽ちゃん、もし良かったらだけど、今から店来ない?」
「え?良いんですか?」
「うん。新しいメニューを考案中でね、せっかくだから常連さんの意見も聞きたいなって……玲也は仕事に戻りなさいよ」
「分かってますって」
時間が遅くなったら家まで送り届けるからと、とりあえず【Cafe: snowdrop 】まで行くことで話がまとまった。
店に着くと、玲也は他の店員にかなり文句を言われていて、本当に悪いことをしたな、と思う。
「優羽ちゃん、店の二階が私の家なんだけど、よかったらこっちに来てくれる?
店は掃除とかしなくちゃいけないから。」
そう言われ、優羽はゆきねについて、外階段を上がっていった。