あんずジャム


ゆきねに軽い感じで言われ、顔がさらに熱くなった。

優羽は慌てて否定する。



「無理ですよ!あんな素敵な人、私が眼中にあるわけないですよ」


「あら、そう?」


「色んな人から愛されて、誰にでも優しくて、格好良くて…私にとって、彼はすごく眩しいんです」


「……本当に好きなのね」



ゆきねはフフと微笑んで、紅茶のおかわりを注ぐ。

そして自分でも一口飲むと、静かに話し始めた。



「優羽ちゃん、この店の名前にもなってる『スノードロップ』って、どんな花か知ってる?」



突然の質問に戸惑いつつ、優羽は首を振る。

そもそも、スノードロップというのが花の名前だというのも知らなかった。



「ヒガンバナ科の、冬の終わりに咲く白い花でね…花言葉は『希望』や『慰め』」



ゆきねはスマホを取り出し、検索した画像を優羽に見せる。

その花は、下に吊り下がっている感じの可愛らしい花だった。


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