初恋チョコレートは甘く蕩ける
叶わない恋の行方
豪奢なパーティーホールで綺麗なドレスを着た女性達が我先にと今日の主役を囲む。
甲斐田物産の御曹司、甲斐田敬一様はその甘い微笑を惜しげもなく披露する。彼は副社長の職を経て、バレンタインの本日、このパーティーで正式に社長就任。
母が甲斐田家の使用人だったことで、私は彼と出会った。幼い頃は身分の差なんて分からなくて、いつも一緒に遊んでいた彼に恋をした。そしてその初恋は今でも色褪せていない。だけど、大人になった彼との距離はとても遠い。
だから今日はチョコを渡して、もうこの初恋に決着をつけよう。
と、思っていたのに人が多くて近づけないしょんぼりとしたまま、シャンパンに口をつける。
しばらく壁際でそうしていると、ティラミスがのったお皿が差し出される。
「楽しくない?」
首をかしげて顔を覗き込んできたのは、なんと敬一様だった。
「せっかくの可愛いドレス姿がもったいないよ」
「え、あ」
「落ち着いて」と言われても、久しぶりで緊張してしまう。
とにかくチョコを渡すなら、今しかない!
想いを伝えようと口を開いた時、意識が遠のいた。
甲斐田物産の御曹司、甲斐田敬一様はその甘い微笑を惜しげもなく披露する。彼は副社長の職を経て、バレンタインの本日、このパーティーで正式に社長就任。
母が甲斐田家の使用人だったことで、私は彼と出会った。幼い頃は身分の差なんて分からなくて、いつも一緒に遊んでいた彼に恋をした。そしてその初恋は今でも色褪せていない。だけど、大人になった彼との距離はとても遠い。
だから今日はチョコを渡して、もうこの初恋に決着をつけよう。
と、思っていたのに人が多くて近づけないしょんぼりとしたまま、シャンパンに口をつける。
しばらく壁際でそうしていると、ティラミスがのったお皿が差し出される。
「楽しくない?」
首をかしげて顔を覗き込んできたのは、なんと敬一様だった。
「せっかくの可愛いドレス姿がもったいないよ」
「え、あ」
「落ち着いて」と言われても、久しぶりで緊張してしまう。
とにかくチョコを渡すなら、今しかない!
想いを伝えようと口を開いた時、意識が遠のいた。
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