ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
ふたりの様子を凝視してしまう私に、大石さんがなぜか言葉を選ぶようにして説明する。
「えぇっと、一条朱華はいわゆるVIPでね、いらしたときは必ず霞さんが対応するのよ」
「そうなんですね」
このホテルを何回も利用しているなら、朝羽さんと顔馴染みなのも納得する。けれど……。
次の瞬間、あろうことか朱華さんは嬉しそうに朝羽さんの腕に飛びついたのだ。感激していたのが一変、私の眉間にぎゅっとシワが寄る。
なんですかあれは。スキンシップが過ぎるでしょうよ。
「……腕を組むのもVIP待遇ですか?」
「う~~ん」
表情を険しくしてボソッと呟くと、大石さんは腕を組み、渋い苦笑いを浮かべて唸った。
すると、朝羽さんはロビーの奥にあるフロントへと朱華さんを促す。私はなんとなく観葉植物の陰に隠れ、その様子を窺う。
歩き出しても、彼女の腕はずっと絡められている。朝羽さんは終始動じず、ほかのお客様に対するものと同じ微笑みを向けていた。
そのとき、ふと以前大石さんが漏らした“女優”というワードが頭をよぎる。
忙しさですっかり忘れていたけれど、もしかしてあのとき言っていたのは朱華さんのことだったりして……。大石さん、さっきからなんだか様子がおかしいし。
「えぇっと、一条朱華はいわゆるVIPでね、いらしたときは必ず霞さんが対応するのよ」
「そうなんですね」
このホテルを何回も利用しているなら、朝羽さんと顔馴染みなのも納得する。けれど……。
次の瞬間、あろうことか朱華さんは嬉しそうに朝羽さんの腕に飛びついたのだ。感激していたのが一変、私の眉間にぎゅっとシワが寄る。
なんですかあれは。スキンシップが過ぎるでしょうよ。
「……腕を組むのもVIP待遇ですか?」
「う~~ん」
表情を険しくしてボソッと呟くと、大石さんは腕を組み、渋い苦笑いを浮かべて唸った。
すると、朝羽さんはロビーの奥にあるフロントへと朱華さんを促す。私はなんとなく観葉植物の陰に隠れ、その様子を窺う。
歩き出しても、彼女の腕はずっと絡められている。朝羽さんは終始動じず、ほかのお客様に対するものと同じ微笑みを向けていた。
そのとき、ふと以前大石さんが漏らした“女優”というワードが頭をよぎる。
忙しさですっかり忘れていたけれど、もしかしてあのとき言っていたのは朱華さんのことだったりして……。大石さん、さっきからなんだか様子がおかしいし。