ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
『その微妙な返事からすると、まだ手繋いだくらいなんでしょ。早くチューのひとつやふたつしちゃいなよ』
『だぁぁ、やめろ! 初音のそーいうことは考えたくないんだよ俺は!』
突然、真琴の言葉に被せ気味で、聞き慣れた声が割り込んできた。
これは紛れもなくわが兄……。両耳を塞いで発狂しそうになっているであろう彼が、容易く想像できる。
「し、しろちゃんいたの?」
『そー、開店前からやって来て飲んでんの。あとで話させてあげるから静かにしててって言ったんだけど、耐えられなかったみたい』
呆れた様子で真琴が言い、私も苦笑していると、彼女からスマホを奪い取ったらしい兄が忙しなく叫ぶ。
『初音! あいつに嫌なことされたり、ストレス溜まったりしてないか!? なにかあったらすぐ帰ってこいよ! ていうか、俺がそっちに乗り込んで──』
『うーるさい! 黙ってて』
真琴の一喝する声と、ドタバタする音が聞こえてくる。騒がしいふたりだけど、これも仲がいいからこそだ。
どうやら、真琴がスマホを奪い返し、店から繋がる自宅のほうへ移動したらしく、物音が静かになる。
しろちゃんはひとりお店に残って、ふて腐れて飲んでいるのかなと思うと、笑いがこぼれた。
『だぁぁ、やめろ! 初音のそーいうことは考えたくないんだよ俺は!』
突然、真琴の言葉に被せ気味で、聞き慣れた声が割り込んできた。
これは紛れもなくわが兄……。両耳を塞いで発狂しそうになっているであろう彼が、容易く想像できる。
「し、しろちゃんいたの?」
『そー、開店前からやって来て飲んでんの。あとで話させてあげるから静かにしててって言ったんだけど、耐えられなかったみたい』
呆れた様子で真琴が言い、私も苦笑していると、彼女からスマホを奪い取ったらしい兄が忙しなく叫ぶ。
『初音! あいつに嫌なことされたり、ストレス溜まったりしてないか!? なにかあったらすぐ帰ってこいよ! ていうか、俺がそっちに乗り込んで──』
『うーるさい! 黙ってて』
真琴の一喝する声と、ドタバタする音が聞こえてくる。騒がしいふたりだけど、これも仲がいいからこそだ。
どうやら、真琴がスマホを奪い返し、店から繋がる自宅のほうへ移動したらしく、物音が静かになる。
しろちゃんはひとりお店に残って、ふて腐れて飲んでいるのかなと思うと、笑いがこぼれた。