ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
綺麗な姿勢で箸を進めている朝羽さんのクールな表情からは、今の言葉が本心なのかお世辞なのか見分けがつかない。

でも、私の趣味を否定せず、素敵だとまで言ってくれたことが、単純に嬉しくなってしまう。

端正な顔をただただ見つめていると、代表が含みのある笑みを浮かべて朝羽さんに声を投げる。


「初音さんのこと、お前も気に入ったか?」

「えぇ。私のもとでなら、彼女の力を発揮していただけるかと」


私の、力?

代表の問いかけに彼が即答したためドキリとしたものの、なんのことを言っているのかわからず、頭の中にハテナマークが飛び交う。

朝羽さんも箸を置き、私たち家族にゆっくり目線を向けながら、詳しく説明し始めた。


「私が総支配人を務めるホテル内のショップに、飛高酒蔵の商品を置くスペースを広く確保したいと考えています。観光客や、結婚式などでの需要が豊富ですし、海外の方の目にも留まる。販売シェアは確実に拡大できます」


急にマーケティングの話になり、私たちも真剣に耳を傾ける。

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