ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
『あぁ、そうしようかな。あいつの働きっぷりを拝ませてもらおう』


相変わらず敵視している言い方に、私は苦笑するしかない。

でも、朝羽さんの働いている姿を見たら、さすがのしろちゃんも文句のつけようがないよ、きっと。

得意げにちょっぴりほくそ笑みながら、週末のことと、少しだけお互いの近況を話して電話を終えた。

スウェットに着替えてきた、緩い雰囲気もカッコいい朝羽さんに電話の件を伝えると、彼は快く承諾してくれる。


「わかった。キャンセルが出るかもしれないし、なるべくいい部屋を予約しておくよ」

「ありがとうございます」


私は笑顔でお礼を言い、ようやくムニエルを焼き始めた。

バターのいい香りを吸い込めば、さっきまでの緊張はどこへやら、ムニエルに合いそうな日本酒をつい検索してしまう。

空気の読めない兄だと恨みたくなったけれど、おかげで気持ちを切り替えられたし、朝羽さんと気まずくならずに済んだから良しとしておこう。

告白はまたタイミングを見てだな、とひとまず諦めた私に、朝羽さんは冷蔵庫から缶ビールを取り出しながら言う。

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