ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
ひと通りウインドウショッピングをしたあと、ベルソレイユに寄って日本酒の販促の様子を見せ、梢さんたちに挨拶をした。
愛想のいい兄は、皆に好印象を与えたことだろう。特に大石さんに気に入られたみたい。
それから、朝羽さんが予約しておいてくれた二十四階のレストランで、リッチなディナーをいただいた。
しかも、料金は支払い済みだというのだから驚きだ。なにからなにまで、本当に頭が上がらない。
このレストランは、以前朝羽さんがランチをしに連れてきてくれたのだけれど、夜はだいぶ雰囲気が違っていて、開放感がある窓から見える夜景がとても美しい。
旬の食材を使った豪華なコース料理に舌鼓を打ちながら、今日の日本酒のイベントの話を聞いたり、家族のことやお互いの近況を報告し合って、満ち足りた時間を過ごした。
デザートを食べ終えた今、午後七時半を過ぎたところ。膝にかけていたナプキンを取ったとき、兄がこんな提案をする。
「そこにバーがあったよな。少し飲んでいかないか? たまにはうらうらと全然違う店で」
「いいね、行きたい!」
バーなんてオシャレなところには行ったことがない私は、二つ返事でOKした。