ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「酒の一杯や二杯は奢らせてくれ」と呟く彼は、どうやらディナーでカッコつけられなかったことを若干不満に思っているらしい。

含み笑いする私は、久々に会った兄とまだ一緒にいられることも嬉しくて、ワクワクしながらレストランを出た。


同じ階にある、モードな雰囲気の薄暗いバーは、とっても敷居が高そうで入るのをためらってしまう。しかし、意外にも兄は臆すことなく足を踏み入れていく。

すごい。しろちゃん、意外と頼もしいじゃん!

堂々としている彼を見直しつつ案内についていき、カウンター席のハイチェアに腰かけた。

見たこともないリキュールの瓶と、曇りのないグラスが並べられた棚をバックに、バーテンダーが目の前でシェイカーを振っている。

自分がものすごく大人になった気分で、なんだか感動するな。しかもイケメンのバーテンだし、つい観察してしまう。

緩くうねる少し長めのミディアムヘアと、整えられた口元の髭がよく似合う彼は、ワイルドさもありながら優しげな顔立ちをしている。

まくったワイシャツから伸びる筋肉質な腕が、男性らしくてセクシーだ。絶対モテるな、この人。

そういえば、朝羽さんの友達がここで働いていると言っていたっけ。歳も近そうだし、この彼だったりして……。

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