ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
やっぱりこの人がそうだったんだ! すごい、こんなふうにして会えるなんて!
偶然の出会いに歓喜する私の隣で、ひとり状況を把握できていない兄は怪訝そうにしている。
朝羽さんの高校時代からのお友達なのだということを説明すると、大和さんは私の手前に濃いピンク色の“撫子”が注がれたショートカクテルグラスを差し出して微笑んだ。
「嬉しいです。ずっとあいつの奥さんに会ってみたいと思っていたので」
「奥さんじゃないっすよ、まだ籍は入れてませんから」
この話になるとすぐにムスッとして口を尖らせる厄介な兄を、大和さんは穏やかに笑って宥める。
「お兄さん。ふたりは事実婚というものが成立してるので、奥さんと言っていいんですよ」
「なにぃ!?」
驚愕の表情で声を上げた兄は、一気に意気消沈し、「そんな……」とうなだれる。
そういえば、うるさくなることが目に見えていたから、しろちゃんには事実婚の件は話していなかったっけ。
少々の後ろめたさを感じつつ、私は気の毒な彼の背中を慰めるようにぽんぽんと叩いた。
そしてカクテルに口をつけ、まろやかかつ甘酸っぱくて、とても美味しいそれを味わってから本音を口にする。
偶然の出会いに歓喜する私の隣で、ひとり状況を把握できていない兄は怪訝そうにしている。
朝羽さんの高校時代からのお友達なのだということを説明すると、大和さんは私の手前に濃いピンク色の“撫子”が注がれたショートカクテルグラスを差し出して微笑んだ。
「嬉しいです。ずっとあいつの奥さんに会ってみたいと思っていたので」
「奥さんじゃないっすよ、まだ籍は入れてませんから」
この話になるとすぐにムスッとして口を尖らせる厄介な兄を、大和さんは穏やかに笑って宥める。
「お兄さん。ふたりは事実婚というものが成立してるので、奥さんと言っていいんですよ」
「なにぃ!?」
驚愕の表情で声を上げた兄は、一気に意気消沈し、「そんな……」とうなだれる。
そういえば、うるさくなることが目に見えていたから、しろちゃんには事実婚の件は話していなかったっけ。
少々の後ろめたさを感じつつ、私は気の毒な彼の背中を慰めるようにぽんぽんと叩いた。
そしてカクテルに口をつけ、まろやかかつ甘酸っぱくて、とても美味しいそれを味わってから本音を口にする。