ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
確かに、私は日本酒のソムリエとも言われる唎酒師(ききさけし)という資格を持っているし、有資格者というだけでもお客さんからの信頼を得られるかもしれない。

これまでも実家の店頭でどれを買おうかと迷っているお客さんに助言してきたけれど、いろいろな層の方が来るであろうホテルでなら、もっとこの能力を役立てられる気がする。

朝羽さんの戦略を理解してふむふむと頷いていると、なぜかうなだれ気味になっている代表が呟く。


「気に入ったかって、そういう意味で聞いたわけじゃないんだが……」

「こういうことに関しての朝羽の鈍さは、今に始まったことじゃないでしょう」


奥様が呆れたように笑って軽くけなすものだから、私たちも思わず笑ってしまった。

朝羽さんって、クールでちょっぴり神経質そうなイメージだけど、意外と鈍感なのかな。

そう思うと、我関せず状態で再び黙々と箸を進め始める彼がなんだか少しおかしくて、気持ちがほっこりした。


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