ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
少しセンチメンタルな気分になって瞼を伏せた私に、優しい兄の声が投げかけられる。


「でも今日、朝羽さんの話をしてるお前を見て、ちょっと安心したよ。あいつのこと好きだってのがよくわかったから」


数秒の間を置いて、私は目を見開いた。

だって、“あいつのことが好き”……って!


「ば、ばれてたの!? 嘘だ、しろちゃんに感づかれるなんて……」

「どうだ。俺も女心わかってるだろ。これで真琴を黙らせてやれるな」


真っ赤になりつつ頭を抱える私に、兄はしたり顔で腕を組む。兄妹そろって鈍感だと思っていたのに、驚きだ。

得意げにしていた彼は、しばらくしてまた真剣な表情になり、私を見上げてしっかりと視線を合わせる。


「俺たちは、血が繋がってなくても本物の家族になれたんだ。だから、あの人ともきっとそうなれる。ていうか、絶対なれよ」

「しろちゃん……」


反対ばかりしていた兄が、私たちを応援してくれている。きっと、朝羽さんのことも、私の気持ちも認めてくれたから。

嬉しさと小さな感動が湧いて、ふいに涙が込み上げる。

この人の妹になれてよかった。そう、強く思った。

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