ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
肩を抱いた手に力が込められ、ドアに向かって誘導されそうになった瞬間、黙っていた兄がふっと苦笑した。
「……まさか、俺が嫉妬されるとはね」
次いで聞こえてきたそのひとことに、私も朝羽さんもピクリと反応して動きを止め、腕を組む彼を見やる。
「俺も疑ってたんですよ。朝羽さんは俺以上に初音のことを愛してくれるのか、って。でも今、こうやって初音を迎えに来たあなたを見たら、信じてもいいかなって思いました」
彼は怒るわけでもなく穏やかな調子で、朝羽さんに応えるように心の内を吐露した。
そして姿勢を正し、まっすぐ朝羽さんを見つめる。
「こいつの兄として、ひとつだけ頼みます。初音のこと、幸せにしてやってください」
頭を下げる兄の姿は、ぐっと胸に込み上げてくるものがあって、またうっすらと涙が滲んでしまった。
瞳を潤ませる私から、朝羽さんは一旦手を離す。しっかり兄と向き合うと、「必ず。約束します」と宣言してくれた。
『近いうちに必ず認めてもらうから』という彼の言葉は、嘘ではなかった。
願わくば、結婚するという義務感からの口約束ではなく、そこに彼の愛情がありますように。
「……まさか、俺が嫉妬されるとはね」
次いで聞こえてきたそのひとことに、私も朝羽さんもピクリと反応して動きを止め、腕を組む彼を見やる。
「俺も疑ってたんですよ。朝羽さんは俺以上に初音のことを愛してくれるのか、って。でも今、こうやって初音を迎えに来たあなたを見たら、信じてもいいかなって思いました」
彼は怒るわけでもなく穏やかな調子で、朝羽さんに応えるように心の内を吐露した。
そして姿勢を正し、まっすぐ朝羽さんを見つめる。
「こいつの兄として、ひとつだけ頼みます。初音のこと、幸せにしてやってください」
頭を下げる兄の姿は、ぐっと胸に込み上げてくるものがあって、またうっすらと涙が滲んでしまった。
瞳を潤ませる私から、朝羽さんは一旦手を離す。しっかり兄と向き合うと、「必ず。約束します」と宣言してくれた。
『近いうちに必ず認めてもらうから』という彼の言葉は、嘘ではなかった。
願わくば、結婚するという義務感からの口約束ではなく、そこに彼の愛情がありますように。