ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「天使がいる……。まだ夢の中でしょうか」


キザなのにボケているセリフが飛び出し、私は照れながら吹き出した。

普通に寝ぼけていたわ。天使だなんて、しろちゃん以外の人に言われるとは思わなかったわよ。


「って、寝ないでください!」


クスクス笑っていたら、彼はかくりと頭を垂れて再び寝息を立てていたため、慌てて肩を揺すった。

起き抜けの朝羽さんは、無防備かつ子供みたいで、やっぱり可愛い。

母性本能をくすぐられまくっていると、彼がゆっくり顔を上げる。今度こそ起きるかな?と思った直後、大きな手が伸びてきて、後頭部を押さえられる。

そして、あっという間に唇を奪われた。

予想外の出来事に目をぱちくりさせる私の頭を支えたままの彼は、とろけそうな瞳をこちらに向け、いたずらっぽくわずかに口角を上げる。


「すみません、寝ぼけてしまって」


……絶対嘘だ。今のは無自覚じゃなく確信犯だ。

たった今覚醒したのか、そもそも寝たフリだったのか定かじゃないけれど。こんなイタズラも仕かけてくるなんて、どれだけ私を胸キュンさせたら気が済むんですか、あなたは。

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