ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
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『それで私に電話してきたの?』
「はい、すみません」
翌日、早番を終えてマンションに帰宅した私は、うらうらが開店する前に真琴に電話をかけた。
両想いになれたことは報告してあり、キスから先へ進まないのだと告白すると、少々低めのトーンの声が返ってきて、私はなんとなく謝った。
うーんと唸る真琴は、どうやら困っている様子。
『初音の相談にはもちろん乗ってあげたいけどさ、餌を目の前にして食べないオスの理由まではわかんないよ。私、女だから』
「……だよね」
言われてみればごもっともだ、と私は苦笑する。適当に返すのではなく、わからないことはわからないと言うのは真琴なりの優しさだ。
そんな彼女は、こんな打開策を提案する。
『シローさんに聞けばわかるんじゃない?』
「さすがに無理」
『だよね』
即効で拒否すると、おかしそうな笑い声が聞こえた。もう、こっちは真剣に悩んでるっていうのに。
脱力していると、真琴は思い出したように言う。
『そういえばシローさん、この間お酒飲みながらちょっとだけ泣いてたよ。東京から帰ってきたあと』
「えっ!?」