ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「俺が言ったのは、もうしばらくふたりの時間を楽しみたいから、避妊するけどいいか?って意味だ。行為自体をしたくないわけじゃない」


私はぽかんとして、彼の発言を噛み砕く。

えっ、ということは……単なる私のはやとちり!?

はっとした瞬間、なにやら動き出す朝羽さんと一緒に、その場に立ち上がらせられた。そして、背中と膝の裏に手を回され、ひょいっと抱きかかえられる。

突然のお姫様抱っこに、「きゃ!」と小さく悲鳴を上げ、驚き戸惑う間にも寝室へと連れられていく。

あっという間にベッドに寝かされる私に、熱っぽい表情の朝羽さんが覆い被さった。


「“そういう気分にならない”わけがないだろう。可愛い妻を抱きたいと思わない男がいるか」


猛々しさを露わにし始める彼に目を見張り、心臓が大きな音を立てて揺れ動く。

う、嘘。私、めちゃくちゃ恥ずかしい人じゃないですか……。

涙はあっという間に引っ込み、顔も身体も沸騰しそうなほど熱い。でも、ひとつだけ疑問が浮かぶ。


「じゃあ、なんでなにもしなかったんですか? 『求めたくなったら、遠慮はしません』って言ってたのに」

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