ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
「はじめまして。飛高と申します」

「ほう、君が朝羽くんの……」


一条社長は切れ長の瞳をわずかに丸くし、私のつま先から頭のてっぺんまで、まじまじと見つめる。

その視線が、どこか品定めするように感じるのは気のせいだろうか。


「とても可愛らしい婚約者さんね。朱華よりお若いのかしら」


一瞬感じた引っかかりは、愛想のいいハナ夫人のひとことのおかげで、頭の隅に即座に追いやられた。

私は驚きのあまり目を丸くして、自分の年齢を伝えるよりも先に確認してしまう。


「やっぱり、おふたりは一条朱華さんの……!?」

「あぁ、まだ話していませんでしたね。お察しの通り、女優の一条朱華さんは、おふたりの一番上の娘さんです」


朝羽さんが説明してくれて、私は思わぬ収穫に興奮しながら頷いていた。

まさか、こんな繋がりがあったなんて! とっても重要な情報を伝え忘れないでくださいよ、朝羽さん!

仕事では抜かりないのに……と、少々脱力する。

威圧感を醸し出しつつも微笑む一条社長は、私たちからお義父様にゆっくり目線を移しながら言う。

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