ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
切れ長で色気のある瞳が朝羽さんと似ているな、なんて思いながらテーブルを拭いていると、お義母様に声をかけられる。


「そういえば、朝羽から聞いたかしら? あの子のお祖父さんの体調がよくなってきたってこと」

「はい。近々、お見舞いに行かせていただきます」

「そう、ありがとう」


可愛らしく微笑む彼女は、なにかを思い出すように目線を宙にさ迷わせる。


「お義父さんね、あなたたちのことを報告したとき、ものすごく喜んでたのよ。あまり喜怒哀楽を表さない人だったから、ちょっとびっくりしたわ」

「そうだったんですか」


お祖父様がどんな人か、詳しく聞いたことはなかった。お義父様はにこやかで比較的温和だけれど、そういう感じではなかったらしい。

頷いていると、お義母様は洗い物をする手を一旦止め、真面目な表情になって私を見つめる。


「朝羽はお祖父さんに似て無愛想だから、困ることがあるかもしれないけど、なにかあったら私に言ってくれて構わないから。これからもよろしくね」


最後は優しい笑顔で口にされたその言葉に、すぐに答えることができなかった。これからも、私は一緒にいられるとは限らないから。

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