ご縁婚〜クールな旦那さまに愛されてます〜
朝羽さんの言う通り、私の両親の了解を得ないといけないし、一条社長にも断りを入れて納得してもらわないといけない。

それになにより、朝羽さんが本当に幸せになるために、このままでいいのかという最大の問題も残っているのだ。諸々を考えると、予定より早く籍を入れるのは少々難しい気がする。

……けれど、私のわがままを言ってもいいのなら、望むことは決まっている。


「……私も、朝羽さんと、れっきとした夫婦になりたい」


本音をこぼした直後、優しい笑みをこぼした彼の顔が近づき、再び熱い口づけを交わした。

激しさを増すキスに思考を奪われているうちに、ドレスがするりと滑り、床に落とされる。

朝羽さんは心許ない姿になった私を抱きかかえ、まだかすかに朱色が残る空が覗くベッドルームへと向かった。


甘い快楽に支配されている間は、難しいことを考える余裕はない。ただただ、大好きな人に愛されている実感が得られる、至福のとき。

波も風も止む夕凪のように、このまま時間が止まってくれたらいいのに──と、情事に耽りながら叶わぬ望みを抱いていた。




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